VRの没入体験において重要な要素について

バーチャルコンテンツにおける「没入感」というものは何によって得られるのか?これは制作を行う上で重要な視点のひとつだと思います。

まずハードウェア的な視点で言えば、映像の解像度とフレームレート、視野角、音響などが上げられるかと思います。これらが揃うことで私たちはバーチャル世界にリアリティを感じ、「没入感」を得ることができます。

逆に言えばこれらが不十分であれば我々はそこにリアリティを感じることができず、没入感も得られないということになります。画質が粗かったり、視界の動きに対して描画に遅延があったりすると途端に没入感は削がれてしまいます。

そしてこれはコンテンツ制作側でも注意が必要で、たとえハードウェアの性能がよかったとしても、(我々の目をごまかせないレベルの)過剰な軽量化によってテクスチャの質感を落としたりすると没入感を感じることが難しくなります。

拾ってきたアセットやテクスチャを組み合わせて作ったワールド。ベイクはしているもののテクスチャの質感にバラツキがあることで、リアリティが感じられない。

現状では質感を重視したワールドを制作しようとすると、負荷の問題からどうしてもワールドの規模は小さくしなければならないというトレードオフが発生します。ではこういった場合どちらを優先するべきなのでしょうか?

これは目的次第だと思います。例えばゲームを目的とした空間であれば、必ずしも没入感は必要ではなく、それよりもワールドの広さが重視されるべきかもしれません。

一方でただそこで過ごす時間を楽しみたいといった目的のコンテンツでは没入感はかなり重要な要素になるだろうと思います。

これまでの話の中で質感という言葉が出てきたので、この点についても少し触れてみたいと思います。

質感はバーチャル世界でリアリティを感じる本質的な要素であると考えます。つまり物理法則や現実の様式のようなものはリアリティを感じる本質的なものではないということです。

例えば異世界へ繋がるドアのようなものは現実世界では存在するはずは(現状)ないわけですが、バーチャル世界でそのオブジェクトの存在がリアリティを阻害する決定的な要因になるかと言えば、そんなことはありません。

そこにそれが存在するということを視覚的に違和感なく受け入れることができるのであれば、そこにはリアリティが存在するわけです。現実を都合よくデフォルメしても問題ないでしょう。

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